top of page
執筆者の写真みずき 英会話教室

「黒い絵」に影響を受けた、期待の無料ホラーゲーム「Arruyo」

どうも、GWも明けてしまい、お仕事という現実に引き戻されたみずきです。そんな現実に戻されたみずきですが、個人的に楽しみなゲームが2022年6月3日(金)にSteamより無料で公開されるとのことなので紹介したいと思います。そのゲームとはDigiPen Institute of Technologyよりリリースされる「Arruyo」というホラーゲームです。


※本作は配信前のゲームのため、ぜひ実機のキャプチャ画像などは本作のSteamストアページなどからご確認ください


この作品は実在したスペインの画家、フランシスコ・デ・ゴヤの作品「黒い絵」「戦争の惨禍」に影響を受けていると開発者から公言されていて、これがみずきの心をざわつかせました。では本作は一体どのようなゲームなのか、Steamのストアページにある概要を翻訳したので見ていきましょう。

舞台は1950年代のスペイン、内戦による飢餓や死の恐怖が未だ国全体を蝕む。フランシスコは邸宅に1人閉じこもり、自身が経験した「恐怖」について絵画を描き続ける。内戦による飢餓と死、そして裏切りの声が家中をこだまする。「何か」が近くにいる。「何か」が呼んでいる。「何か」が壁の中を這いずり回っている。フランシスコは深淵なる闇と対峙し、彼の人生の中で最も深い闇を迎えることとなる。

うん、この概要を読むだけでとても好きになれますね。 さて、本作が多大な影響を受けた「フランシスコ・デ・ゴヤ」はどのような芸術家だったか、少し見てみましょう。


「フランシスコ・デ・ゴヤ」は18世紀から19世紀にかけて活動していたスペインの画家です。そんな彼が晩年に描いたとされているのが「黒い絵」と「戦争の惨禍」です。ゴヤが晩年に描いた作品はどれも暗く不気味な印象があり、本作はそれらに影響を受けているとされています。

なぜゴヤはこのような暗い作品を晩年に多く描いたのか、それは戦争によるものでした。

19世紀初期、スペインはナポレオンの行軍によりフランスの支配下に置かれ、その後もフランスからの独立を求めたスペインでは戦争が行われていました。この戦争を経験したゴヤは、その経験を忘れることができず、戦争による「恐怖」「狂気」の多くを絵画に残したとされています。「黒い絵」など、まさにそうといえるでしょう。この作品は、自身が購入した邸宅の壁に描いた黒を基調にした作品群(計14枚)です。どれも暗く、ダークな雰囲気が漂い、戦争による狂気が伝わってくる作品です。「戦争の惨禍」も同様です。こちらの作品群(計80枚)はその名の通り、戦争の一場面がモノトーンの絵画になっており、スペイン内戦の悲惨な一面を垣間見ることができます。

一方、戦争を経験する前のゴヤは宮廷画家であった反面もあり、「着衣のマハ」「裸のマハ」なども描いています。むしろこちらの方が彼の作品としては有名かもしれませんね。

そんな戦争による「恐怖」を描いたゴヤの作品が、本作における「恐怖」の原点になっているようです。個人的に気になるのが、ストアページに書いてあった「フランシスコ」が「フランシスコ・デ・ゴヤ」のことなのか、という点です。前述の通り、ゴヤは18~19世紀の人間なので、1950年が舞台である本作の時代考証的には存在しない人間です。しかし、1950年といえば第二次世界大戦直後、つまりはゴヤが経験した戦争の爪痕が色濃く残る時代です。つまりはこの時代の「フランシスコ」もゴヤのように戦争の悲惨さを描いた絵画を残すことができる人物かと思われます。果たしてこの「フランシスコ」は別次元の「フランシスコ・デ・ゴヤ」なのか、はたまたゴヤとは関係のない「フランシスコ」なのか、気になるところです。

ここまででわかることは、本作は血なまぐさいスプラッタ―ホラーというよりは、「恐怖」という感情をテーマにしたサイコホラー作品になりそうということです。

サイコホラーといえば呪いや幽霊などの表現を使用する、日本の心霊関係のホラー作品が有名ですね。和風サイコホラーはこのような「心霊」をテーマにすることが多いですが、西洋のサイコホラーは人間の感情に焦点を当てた作品がしばしばあり、みずきはこういった作品が好きです。わかる人が限られてくるかと思いますが、クトゥルフ的恐怖というんですかね?得体のしれない「何か」におびえ続ける「恐怖」、それによってくるっていく人間、というのが題材のサイコホラー作品というのは西洋のサイコホラー作品としては王道ですね。そして本作はこういった系統を感じれるので、みずきは非常に期待しております。

そして本作を作成したのは前述のとおり、工科大学DigiPen Institute of Technologyの学生たちです。


DigiPen Institute of Technologyはアメリカ ワシントン州、シンガポール、そしてスペインのビルバオにキャンパスを構えており、本作はビルバオキャンパスの学生たちが作成したものとのことです。学生が作った作品といっても、クオリティはなかなかの仕上がりになってそうです。DigiPen Institute of Technologyはゲーム開発を専門的に学べる工科大学で、本作以外にも数多くのゲームがSteamにて公開されています。

この大学からリリースされたほかの作品たちを見てみても好評なレビューが数多く投稿されています。そしてDigiPen Institute of Technologyから配布されるゲームは全て教育目的のため、無料で公開されています!これを機に、良かったらほかのゲームも覗いてみてはいかがでしょうか?個人的にはHyde & Seekと、5/7に公開されたばかりのShadowBringerあたりが気になります……。

さて、最後に帰国子女らしくローカライズだったり言語面について記載しますね。残念ながら、本作は日本語未対応で、ボイスは全てスペイン語となります。舞台がスペインなので、ボイスがスペイン語なのは何も違和感ないですが、日本語ローカライズはされていないので少しプレイ時のハードルは高めです。といっても、本作はあくまでも教育目的に学生が作成したゲーム、ローカライズなんてする費用はなくて当然です。海外大手ゲーム会社ですら、日本語ローカライズに関する費用があまりにも高すぎるため断念してしまう事例があるので、学生たちが日本語化ローカライズを断念するのも納得です。むしろ英語にローカライズされていることを喜びましょう!

そして本作のタイトル「Arruyo」ですが、こちら調べてみたところ、おそらく造語であることがわかりました。舞台であるスペインからして、何かスペイン語にゆかりのある意味が隠されてるのでは、と思い、みずきの小学校時代のスペイン人に聞いてみたところ、「Arroyo」という単語ならスペイン語に存在すると回答を得られました!「Arroyo」の意味は小川など、英語の「Stream」に似た意味の単語らしいです。以上のことから本作では「川」がキーとなるかもしれません……!?

以上、長々と書いてきましたが、私みずきが最近気になるホラーゲーム「Arruyo」の紹介でした!学生たちが作り上げた本格ホラー作品が無料でプレイできるので、ぜひ英語に自信がある方、そして大学でスペイン語を履修されていたかたは手に取ってみてはいかがでしょうか?

「Arruyo」は2022年6月3日(金)より、Steamにて無料配信予定です。


Special Thanks to, Ross, 龍剣 (敬称略)。

閲覧数:16回0件のコメント

最新記事

すべて表示

ポケモンSVの舞台、パルデア地方のマップを考察していく!#1

前回と前々回の考察ブログではポケモンSVの新仕様「テラスタル」を言語面、そして地学面から考察しました。もしそちらの記事を読んでいない方は、ぜひ読了してから本記事を読んでいただけますと幸いです! さて今回からなのですが、以前行った考察をもとに、今作の舞台であるパルデア地方のマ...

ポケモンSVの新仕様「テラスタル」を言語面から考察して見た!

今回のPVで明らかになった新仕様「テラスタル」、ポケモンがきれいな宝石をまとう仕様が明らかになりましたね。今回はこちらの仕様に注目し、言語的に考察していきたいと思います。 まずは新仕様の名前、「テラスタル」をもとに考察を進めていきましょう。Twitterアカウントの【公式】...

コメント


  • さえずり
  • YouTubeの
bottom of page