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執筆者の写真みずき 英会話教室

Horizon Zero Dawn レビュー記事


PS4で発売されたタイトルの中で、みずきが最もお勧めしたい作品といったら「Horizon Zero Dawn」だろう。当時長らくPlay Stationから離れていたみずきだが、2016年10月にPS4を購入し、その後一番プレイしたゲームが本作となる。


Horizon Zero Dawnは美しい自然の中で優雅かつ不気味な機械生命体が闊歩する世界が舞台のオープンワールドのゲームだ。ゲームの開発はオランダに本拠地をおくGuerrilla Games, 本シリーズ以外にはKill Zoneシリーズなどで有名なゲームデベロッパだ。本作は2017年2月に新規IPとしてリリースされたにも関わらず、世界中で大ヒットとなり、新規IPとしては2022年初め段階で3000万本以上も出荷している。2022年4月現在では次作のHorizon Forbidden Westが発売され、Metacriticでも88点という高得点を記録し、今でも衰えぬ人気を擁している。そんなHorizon Zero Dawnはなぜこれほどの人気が出たのか、みずきなりに分析していく。


なお、以降は本作のネタバレが多少含まれているので、本作を完全初見でプレイしたい方は閲覧注意です。


世界観

本作は最初にも述べたように雄大な自然が広がる中、不釣り合いな機械型生物である機械獣が闊歩する世界を主人公であるアーロイが冒険するオープンワールド型のゲームだ。


この雄大な自然は今から約40年後の2060年代に地球から文明が滅び、そこからさらに1000年の時間が経ったことで形成された。なぜ文明が滅んでしまったかはぜひ本作を手に取り自身で確かめていただきたい。文明が滅んだあと、人類はかつてのような便利な生活を忘れ再度文明を1から形成し始めている。本作のストーリーも狩猟民族であるノラ族の異端児アーロイが過去の遺産であるフォーカスというデバイスを手にし、文明が滅ぶ前の記憶に触れるところから始まる。


アーロイの物語

先述の通り、本作は文明が滅んだ世界の中で生活する狩猟民族ノラの異端児としたアーロイの視点で進む。アーロイの出生は全てが謎で、そのためノラ族の中では異端児として育て上げられる。ある日過去の文明の遺跡に偶然落ちてしまったアーロイは文明の遺産であるフォーカスというデバイスを手にすることで、過去の記録を覗いてしまう。ノラ族では禁忌とされている過去の文明への干渉だが、それは異端児であるアーロイには関係なく、彼女はどんどん文明が残した知識に惹かれていく。そんな彼女は育ての親である異端者ロスに立派に育て上げられ、ストーリーが本格的に始まる頃にはノラ族に受け入れられ、世界中に蔓延る機械獣の謎の解明を任されることになる。アーロイは自身に課せられた任務と共に、自身の出生の謎と過去の文明がなぜ滅んだかを解き明かしていく。


本作はこういったストーリー転換点のちりばめ方が秀逸で、ストーリー序盤で投げかけられる謎はすぐプレイヤーの興味を引き、アーロイがそれを解き明かすたびに感動し、次の謎を解き明かそうとメインストーリーを進めるべくコントローラーを手放すことを忘れることになるだろう。この秀逸なストーリーがなければ本作はこれほど評価されることはなかったとみずきは思う。


機械獣

そして主人公アーロイに襲い掛かってくるのは美しくも危険な機械獣たちだ。文明崩壊後、地球の支配者は人類から機械獣へと移ってしまった。多くの動物が絶滅してしまったが、そんな動物の姿を模倣して地球を闊歩している。ストーリー序盤に登場するストライダーは牛のような機械獣、グレイザーはその角からわかるように鹿がモデルとなっており、中型で獰猛なソートゥースはかつて地球に存在したセイバートゥースがモデルだろう。各地でランドマーク的な存在となる超大型機械獣であるトールネックは名前と姿からもわかるように、キリンがモデルとなっていることが推測できる。草食動物をモデルとした機械獣は群れで行動することが多く、常に周囲を警戒しているためアーロイを見つけると一目散に逃げていくことが多い。逆に獰猛で攻撃的な機械獣は肉食獣をモデルとしている場合が多く、群れではなく単体、もしくはつがいで行動することが多い。


さらに注目したいのは各機械獣が警戒していないときの動作である、つまりはモーションだ。ストライダーは草食で、食事の休憩を取るときはしきりに首を振ったりする。それはまるで本物の牛を見ているかのようだ。一方、肉食獣をモデルとしたソートゥースが闊歩するときは、周囲を警戒するのではなく、我が物顔で自分の縄張りを広い歩幅で歩く。他の機械獣たちも、モデルとなった動物の動きの多くを再現するために細かいモーションが導入されている。

このように、舞台となっている地球では多くの動物たちが絶滅してしまっている中、かつて地球上に存在した自然環境は機械獣たちよって再現されている。その無機質な姿とは裏腹に、機械獣たちによって模倣されている動物たちの様子には機械獣たち本来の恐ろしさを一瞬忘れてある種の芸術的美しさを感じることもできるだろう。


オープンワールドの完成度

先述のストーリーの完成度はもちろん、本作が世界中から評価されているのはオープンワールド作品としての高い完成度だろう。オープンワールドというと、広大なマップに点在する数多のお使いクエストや、プレイしていて目的を見失うことが課題として挙げられるだろう。しかし本作はそれらの課題を全てメリットとするような工夫が施されている。


クエスト

メインクエストはもちろんサイドクエスト/サブクエストと充実しており、ほかにも山賊の野営地、トールネック、狩場、機械炉と充実している。全てのクエストはトラッキングすることで次に何をすればいいか確認することができ、画面上部の方角バーでどこへ向かえばいいかを確認することができる。

メインクエストは言うまでもないが、メインストーリーの進行を管理するものだ。一方、サイドクエストはそのメインクエストを補完するクエストのことだ。メインクエストで言及されたが本格的にストーリー本筋に関わってこないことや、メインストーリーで出てきたキャラクターの深堀り、ストーリーの歴史の補完など、メインクエストをさらに深掘りしたいときはサイドクエストに挑戦するとよい。サブクエストはメインストーリーに一切かかわらないが、Horizon Zero Dawnの世界観を補完するクエストだ。

この世界の人々がどのように生活しているのか、どのような社会的問題があるのかなどを補完するクエストのため、みずきみたいな考察好きにはたまらない要素である。他に上がった山賊の野営地やトールネック、狩場や機械炉は正確にはクエストというよりはランドマークに近く、近づくことでミッションが発生し、そのミッションをクリアすることでアーロイを強化することにつながる。

基本的には常にメインクエストのフラグが立っているため、なにをすればいいかわからなくなった際はそれを確認すれば迷子になるということはなくなる。


マップ

本作はマップにもこだわっていることが見て取れる。

本作の特徴というのは何度も記載しているように、文明が滅んだ後の自然が再生した地球だ。そのため、雄大で優雅な自然の中に、文明の遺跡がところどころ残っている。もしこのマップがただの自然豊かな地球だったのなら、これほど広大なマップを移動するだけで飽きてしまうことだろう。しかし、本作は文明の遺跡がアクセントとして存在することで、ただの自然の中を移動するのではなく、この土地が昔どのような場所だったのかをどうしても想起してしまう。ちなみに本作はアメリカはコロラド州デンバー周辺がモデルとなっていると公式から言及がある通り、自然の中にも都市の跡地らしき場所があったり、探索していて飽きることがない程度にアクセントがマップ全体に広がっている。都市跡地周辺には幹線道路だったのであろうものがあったり、その上には大量の廃棄された自動車、その先の開けた土地には戦車などの軍事車両らしきものが廃棄されていたりと、文明が崩壊する直前の人々の様子を詳細に想起できるよう再現されている。

もちろん上記のように、本作独自の世界観のための文明遺跡以外にも、マップを移動するたびに見られる環境変化も素晴らしい。本作はノラ族の居住地である山の中から始まり、冒険が進むにつれ草木広がる平原地帯、独特な形状のメサ地帯、資源豊かな熱帯雨林地帯、灼熱の砂漠地帯、そして吹雪吹きすさぶ雪山地帯と、様々な舞台で物語が進む。

各地域にはそれぞれの場所にあった動植物、そしてその自然環境に適した人々が暮らしている。これらの環境変化は自然な場所で行われ、主人公であるアーロイの言動も周囲の環境によって変化するのは素晴らしい。


収集要素

そしてオープンワールドゲームで何と言っても外せないのが収集要素だ。広大なマップを縦横無尽に駆け巡り、思いもよらないところで想定外の発見をするというのはオープンワールドゲームの醍醐味じゃないだろうか?そんな本作には以下の収集要素がある。

・データポイント:文明がまだ存在した時代の文章

・書物:文明崩壊後の世界について記載されている文章

・鉄の花:謎の詩が登録されている鉄製の花

・古の器:文明が滅ぶ前の謎の器(現代で言うコップ)

・バヌークの像:バヌーク族の骨董品

・ヴァンテージ:文明が存在した時代の風景

そしてこれらの収集要素にはすべてフレーバーテキストが存在する。

そう、全てにだ。データポイントは文明が滅ぶ直前の人類の生活、およびどうして文明が滅んだかの記載が、書物にはこの時代の文明について、事細かにフレイバーテキストが記載されている。

これを読み漁るのが本当に楽しい。みずきのように収集好きで考察が好きな人間にとっては本当に時間泥棒な要素である。おかげで2週目プレイ時は攻略サイトを見ないで全てを集めるのに100時間を超えてしまった。そしてほかの鉄の花、古の器、そしてバヌーク


族の像にはそれぞれ特別なモデルが用意されおり、モデルを解説するフレイバーテキストがある。そして最後の収集要素、ヴァンテージはマップの各地に散らばっている、文明が滅ぶ前の風景を見ることができるポイントだ。ヴァンテージポイントという場所に行くことで、そこから見える現在の地形の上に文明が滅ぶ前の地形を重ねて表示して、当時の情景をアーロイに見せるというのは滅ぶ前の文明に興味をもつ彼女の行動理念とも重なることでゲーム内に自然と存在することができる。プレイヤーにも、特にコロラド州をある程度知っているプレイヤーならいろいろと思うところはあるかもしれない。収集要素を探すのに時間を費やし、そして集めたものを読了するのに時間がさらに消え、さらにその考察もとに次なる情報を欲して探索に出る、以下無限ループである。考察が好きな方やコレクター精神のある方はぜひとも本作の収集要素に時間を費やしていただきたい。


改善してほしい点

しかしながら本作には初見ではとっつきづらい点も複数ある。


戦闘スタイル

本作は狩猟民族であるノラ族として育ってきたアーロイの物語だ。そのため、ゲーム内での戦闘は彼女が行い慣れている狩猟と同じ弓を基本とする。弓の操作は最初は慣れるのに時間がかかる人もいるだろう。一応、彼女は槍も常備しているのでこちらを使うこともできるが、本作ではあまり槍による近接アクションは推奨されておらず、強大な機械獣とは距離を取って安全に戦うことが求められている。しかしながらこの弓による戦闘スタイルも、ストーリー中盤に差し掛かれば慣れてしまうもので、みずきも気づけば本作のカバーに表示されているサンダージョーという巨大な機械獣でも弓だけで2分ほどで倒せるようになっていた。


ファストトラベル

また、広大なマップにも関わらず、ファストトラベルは特定のアイテムが必要となる。広大なマップでファストトラベルが任意にできないのはストレスになる方もいるだろう。本作でファストトラベルをするにはファストトラベルパックというアイテムを使用する必要がある。このアイテムだが、何度もファストトラベルをしているとすぐ枯渇してしまう。一応、マップ中を探索した際に入手するなどを見てみると入っていたりするが、それ以外での入手方法は主に狩猟や採取による材料からのアイテム作成だ。ファストトラベルパックを作成するには各地で入手できる枝の他、2種類の肉が必要になってくる。この肉は回復ポーションなど様々な用途で使用できることからなかなかストックされず、動物を狩猟して入手しないといけないため、確実に入手できる手段が商人からの購入しかない。そのため、マップの真ん中で商人も近くにいないときは意外と苦労してしまう。


細かい動作

ほかにも崖際や壁、アクロバティックな動作部分においては少し操作性の改善が求められるところがある。一点からもう一点に飛び移る際になかなか自分が意図していた場所に飛び移れないときはどうしても少しいら立ちが湧いてしまうこともある、もちろん些細な問題だが。


なお、ここで上げた改善できる点は全て次作の「Horizon Forbidden West」で改善されることになる。


総括

新規IPとして脅威の3000万本も手に取られた「Horizon Zero Dawn」、本作はオープンワールドとしてハイクオリティなうえ遊ぼうと思えば何時間も遊べてしまう作品だ。みずきは初回は60時間ほど、2週目は100時間以上といろいろ探索/収集し、今でもプレイしているほどハマってしまった。重厚なストーリー、終わりの見えない探索/収集要素、そして探索したことによって広がる考察、こういった要素が好きなゲーマーにはぜひとも手に取っていただきたい。そして本作をクリアしたら次作である「Horizon Forbidden West」をぜひ手に取ってほしい、こちらも本作同様とてもおすすめできる作品だ。


「Horizon Forbidden West」についてはまた後日。


Special Thanks to, トメイトウ、チュン、ふわり、Ross(敬称略)。

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